普段、あまり気にすることのない車のタイヤですが、その溝には、実は様々な役割があるのをご存知ですか?
仮に、路面が完全にドライで砂も埃もなければ、タイヤには溝は要りません。接地面積が多いほうがグリップはいいからです。
しかし実際には、雨も雪も降りますし、道路には砂や砂利もあります。タイヤの溝は、公道で車を走行させる様々なシーンを前提に作られています。そんな溝の秘密についてご説明します。
縦溝の役割とは?
縦溝は、主に雨水の排水と、直進性を生み出すために刻まれています。これがないと、雨天時に車が水の上に浮く「ハイドロプレーニング現象」が起きてコントロールできなくなってしまいます。
しかし直進性が強いという長所は、スポーツカーにおいては旋回のレスポンスが悪いという短所にもなってしまいます。高級セダン用やミニバン用など、装着する車種によってタイヤのブランドが変わってくるのはそのためです。
実は遠距離を走るバスやトラックのフロントタイヤは、縦溝だけであることが多いんです。また離着陸時に直進性が重視される旅客機のタイヤには、縦溝しかありません。
ちなみにレース用の溝が全くないスリックタイヤと呼ばれるタイヤは直進性がない、ということになります。
横溝の役割は?
次に横溝は、路面をしっかりとらえるためにあります。最も分かりやすいのがスタッドレスタイヤで、高さのあるブロックパターン、その間の深い溝、そして走行時に発生する水分を取り込むサイプという細い溝からできています。これら相互の働きによって雪の路面をしっかり掴んでいるのですね。
工具のドライバー等に、回転方向と直角に溝が彫られているのと同じ理屈なんです。
斜め溝の役割とは?
最後に斜め溝ですが、これは排水や見た目のバランスからつけられています。ただし現在では、左右非対称パターンのタイヤもあり、左右で交換できないこともあります。
そのほか、空気圧や劣化によるヒビわれ、溝のすり減り具合などもタイヤのチェック項目です。
そして、タイヤだけではなく、すべてのメンテナンスである車検もお忘れなく。「ホリデー車検」
タイヤの溝には、安全や操縦性を考慮して、メーカー技術者の考えや想いが反映されているのです。車に乗るときにふとこのことを思い出して、感謝の気持ちを忘れないでいたいものですね。
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