ストレート、オンザロック、カクテルベース、水割り、ハイボールと、バリエーション豊かな飲み方のできるウイスキーですが、製造する過程において「天使の分け前」と言われるものがあります。これは美味しいウイスキーを作るために不可欠のものなのですが、ご存知の方は少ないのではないでしょうか。
今回はそんなウイスキーの秘密についてご紹介しましょう。
できたてのウイスキーは無色透明
ウイスキーの主原料は、ビールと同じ。それにトウモロコシなどを加えて糖化させ、次に濾過して麦汁を作ります。そしてそれを発酵させると、アルコール度数7〜8%の液体ができます。
ウイスキーは蒸留酒ですから、さらに蒸留器で蒸留し、アルコール度数60〜70%、無色透明の液体(原酒)を作ります。
つまり、できたてのウイスキー、まさに原酒は無色透明なのです。
天使の分け前
次に、できた原酒は木製の樽に詰められ、数年から十数年以上寝かせて熟成させます。この過程でウイスキー独自の風味と色が出てくるのです。
しかし、樽は木でできていますので、僅かに気体を通します。すると、熟成させている間に水分やアルコール分が僅かに樽からしみ出ていってしまいます。その結果、熟成を終えて樽を開けたときには量が減っていますね。その減った分を「天使の分け前」や「天使の取り分」と呼んでいます。
おしゃれな呼び方ですね。減った分は天使のためのウイスキーというわけです。
ウイスキーの風味は、この長い熟成期間によって得られるもので、熟成が長くなれば天使の分け前も増えることになります。蒸留所の森の中で、天使に見守られながら静かに琥珀色に変化していくウイスキー。何ともロマンチックですね。
なお日本産のウイスキーは、スコッチ、アイリッシュ、バーボン、カナディアンという世界の名産地に並ぶ、確固たるブランドを築いています。
一度、琥珀色の向こうに天使の面影を思い浮かべながら、グラスを傾けてみてはいかがでしょうか。
top photo by: Dominick
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