一昔前の「くたびれた背広のサラリーマン」のイメージや、リクルートスーツに身を包んだ就活生たちの姿から、日本ではスーツといえば「地味」で「没個性」という印象を持たれがちです。なかなか個性を出しづらいと思っている方も少なくないかと思います。しかし、これはとんでもない誤解です。
メンズスーツには、女性のファッションに勝るとも劣らないバリエーションがあり、欧米の紳士はスーツのシルエットで自分の個性を最大限に主張しているのです。
今回は、スーツの個性を形作る様々な要素の内、「ラペル」と呼ばれる下襟のバリエーションについてご紹介しましょう。
スーツの顔であるラペルの種類
スーツの襟は、刻み部分の切り替え(ゴージライン)を境にして、上側がカラー(上襟)、下側がラペル(下襟)と呼ばれます。この二つがスーツの中でも最も注目される「顔」として機能しているのです。
ラペルの形の種類には、ノッチドラペル、ピークドラペル、セミピークドラペル、フィッシュマウスラペル、クローバーリーフラペルなどがあり、それぞれに見た目の与える印象が大きく異なります。
最も一般的な形といえるノッチドラペルは、ゴージラインが直線的で、襟刻みが菱型になっています。
一方、下襟の先が上に向いて折返っているのがピークドラペルであり、その角度が緩いとセミピークドラペルになります。
フィッシュマウスラペルは下襟の角度が水平で、その名の通り魚の口のように見えるもの。
クローバーリーフラペルは、上襟と下襟の角がクローバーの葉のように丸くカットされたものです。
スーツの着こなしに長けた紳士は、こうしたラペルの種類を、用途や流行、好みによって使い分けるのです。
幅の広さやゴージラインの角度で印象が決まる
ラペルの形の種類に加えて、ラペルの幅が狭い(ナロウ)か広い(ワイド)かによっても印象が左右されます。
流行による変動はありますが、概ねナロウは若々しい鋭さ、ワイドは堂々としたゴージャスさを印象づけると言われています。これらの用途はビジネスシーンに応じて様々です。
例えば、ナロウラペルのスーツを着て商談に臨む場合、企画者や研究者であれば切れ者を演出することができますが、金融業の人が着ていると印象が軽すぎて信用を得られないかもしれません。
また、ピークドラペルのダブルスーツは目上の人が着るのが普通ですが、高級車のディーラーなどは、扱う車のゴージャスさを顧客に強調するために敢えて着たりします。
カラーとラペルの縫い目であるゴージラインの位置によっても印象は変わります。
一般に、ゴージラインが高いとクラシックでかしこまった印象、低いとモダンな印象を与えるとされています。しかし、ゴージラインが高くても角度が急であればかしこまったイメージが緩くなるなど、様々な例外もあります。
本当の着こなしとは
今回はラペルなど細かい部分に着目してご紹介しましたが、スーツの着こなしには他にもいろいろなマナーがあるようです。
このサイトでもスーツの着こなしについてはいろいろ紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
しかし、いくらスーツの着こなしマナーを知っていても、そのスーツがよれよれだったら全てが台無しです。
そう、本当のマナーとは清潔でシワのないスーツを着ているかどうかですよね。仕事上、何着か持っている人はこまめにクリーニングに出してメンテナンスしておいた方がいいでしょう。
忙しいビジネスマンはお店の開店時間内の受け渡しが難しいという声もありますが、そんな方には宅配クリーニング
ぜひ上手に利用していつでもかっこいい着こなしができる男性でいたいですね。
ここに紹介したものは一部の例に過ぎませんが、メンズスーツの奥深さの一端がお分かり頂けたかと思います。
スーツは男の大事な戦闘服であり、プライベートにおいても個性を主張できる重要なファッションアイテムです。紳士たるもの、自分に合った着こなしを見出したいものですね。
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