フィンガーボールのちょっといい話


ちょっと格式の高いレストランに行くと飲み物や料理と一緒に、手のひらサイズの水の入った小さな器が運ばれてくることがあります。
これは食事で汚れた指先を洗う物で、一般的にフィンガーボウルと呼ばれています。
カニやエビなどの甲殻類や殻付きの牡蠣など、ナイフやフォークだけでは食べづらい料理の時に運ばれてくることが多いです。
普段の生活で馴染みがないので初めて見た時「この水が入った容器は何に使うんだろう?」と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。

今回は、そのフィンガーボウルにまつわる素敵なお話をご紹介したいと思います。

 

来客に恥をかかせないための最高の思いやり

とある大きなお城で、多くの人を呼んでの華やかなパーティが行われました。
そこでの会席の途中、来客の一人がフィンガーボウルの水を飲んでしまいました。
フィンガーボウルは食事で汚れた指を洗うものであって、飲む物ではありません。
しかし、来客の出身の国ではフィンガーボウルを使う風習が無かったため、来客はそのことを知らなかったのです。
フィンガーボウルを知っている他の人間は「非常識だ」「マナー違反だ」とフィンガーボウルの水を飲んだ来客のことを責め立てました。
それを見たお城の王女様は、来客に恥をかかせまいと自らもフィンガーボウルの水を口にしました。
王女様の姿を見て、フィンガーボウルの水を飲んだ来客を責める人間はもう誰もいませんでした。

 

…いかがでしょうか。凄くいい話だと思いませんか?
小学校の道徳教科書にも載っているくらいの有名なお話なので、知ってる方も多いかもしれませんね。
元々が日本の軍人である荒木貞夫という人のエピソードなのですが、子供でも分かりやすいように少し脚色されているようです。
マナーや常識というのは、その場その場で大きく変わります。
この王女様みたいに咄嗟の判断ができる紳士になりたいですね。

フィンガーボールのマナーに関してはまた別途紹介させて頂きます。
本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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    Bluebook編集部
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