世界各国の「感謝の言葉」に込められた思い
「ありがとう」って素敵な言葉ですよね。
日本でも海外でも、感謝の言葉を頻繁に口にする人は周りから好い印象を持たれ、場の雰囲気を華やげてくれるものです。
日本語の「ありがとうございます」は、元をたどれば「有り難い」、つまり「そんなことが有るのは珍しい」という意味から来ているのは皆さんおわかりでしょう。
普通ならありえないような貴重な行為をしてくれた相手に対して、こんな「有り難い」ことをしてくれて感謝しています、という気持ちを表すのが「ありがとう」の始まりだったわけです。
それでは、世界各地の感謝の言葉には、どんな意味が込められているのでしょうか。
神様の慈悲に感謝する
フランス語では、「ありがとう」を表す言葉は「merci(メルシー)」です。より丁寧な感謝を表す「メルシー・ボークー」と併せ、皆さん聞いたことがあると思います。
この「merci」とは、元々は神様がくれる「慈悲」のことです。
キリスト教の世界観では、神様がかけてくださる情けがこの世で最も「ありがたい」ことだと感じられ、それが感謝を表す言葉になったのですね。
イタリア語で「ありがとう」は「grazie(グラーツィエ)」といいます。
よく「グラッチェ!」と書かれていますよね。これもまた、神様が人間にかけてくださる「好意」や「親切」からきている言葉です。
フランスやイタリアの人々は、相手の行いを神様の慈悲や好意のように感じ、「そんなことをしてくれるなんて、あなたは神様のような方ですね」という意味を込めて、これらの感謝の言葉を発しているのですね。
相手の思いに感謝する
英語の「thank you」はどうでしょうか。
じつは、この「thank」は「think(考える)」と同じ語源の言葉なのです。
ここに込められた意味は「思い」です。相手の行いに対し、「私はそのありがたみを心で受け止めていますよ」という気持ちが言葉に現れたのが「thank you」という表現なのですね。
英語の兄弟にあたるドイツ語でも、「ありがとう」は「danke(ダンケ)」といいます。
英語と同じで「denken(考える)」という言葉からきています。
相手のしてくれたことの意味を考え、相手を思いやることこそが「感謝」なのだという考え方なのでしょうね。
普段は何気なく使っている言葉でも、その元々の意味を噛み締め、意識して口にしてみると、より相手に思いが伝わるかもしれませんね。