挨拶のしきたり~歴史から見る大人の作法~
何気なく使っている私たちの言葉や行動は、祖先の人々が日本の宮廷文化や武士道、仏や神との関わり合いを通じて培ってきたものです。これらのうんちくや本質を学び知恵として、大人の品性を磨いていきたいものですね。
現代を生きる中で自分なりにアレンジし、取り入れることでワンランク上の大人になれることでしょう。
敵意をないことを示す~おじぎ編~
世界には様々な挨拶の仕方があります。
「キス」「抱き合う」「握手」「ほおずり」中には鼻をすり合わすなんていう挨拶も。
日本人は通りすがりに「おじぎ」をする習慣を持っています。
おじぎをしていたと確認できる最古の文献は邪馬台国の「魏志倭人伝」です。
「貴方に会うと国人は道を避けてひざまずき、頭を下げておじぎする」と書かれています。
さて、おじぎにはどんな意味が秘められているのでしょう。
つまり頭を下げることは無抵抗の表現であること、すなわち視線をはずして大事な頭を下げ「私はあなたに敵意はありませんよ」と伝える行為といえます。
互いに敵意を取り除き、おじぎし合うことは、コミュニケーションの出発点ともいえるのではないでしょうか。
日本ならではの作法~お先に編~
昔の日本人は、左側を歩くのが基本でした。
人間のほとんどは右ききでピストルなどの武器は右に下げますが、刀が主体の日本では左に下げます。サーベルは縦に下げることができますが、刀は長さがあるので左側にささざるをえないといったことです。
また、すれ違うときに武器がぶつかり合うことは危険で屈辱の意味合いも持ちました。
江戸時代からは、作法として左側を歩くことが決められていて、大名同士が参勤交代で行き違うときには身分の低いほうが進行方向の左側に寄って止まります。
止まるといったことも礼法の一つで、右側の行列が通りすぎるのを待ち、それから左側も動き出すのです。
また個人の場合でも狭い道を通る場合は「どうぞお先に」といって譲り合います。
決して同時に歩き出すことはありません。
礼法として「左側を歩き、すれ違うときには止まり、相手を先に通させてから、次に自分が行く」といった確個とした意識を持っていました。
日本人の心の奥ゆかしさ、相手を思いやる心が垣間見えるものではないでしょうか。
こういったものはいつまでも残り続けてほしいものです。