なぜチップは「現金」がマナーなのか?レストランでのチップのあれこれアメリカ編


チップはどれくらい払えば良いものなのか

チップの率は州によってもシチュエーションによっても異なりますが、基本的にお会計の15~20%
$30の食事なら、チップは$6……一回ならまだしも、毎回これだと結構な額になっちゃいますね…。

こんなに高いチップ、どうして払わなくちゃいけないの?と思っていた方のために、今回はチップの話を少々…。
 

チップ=収入?意外と厳しいウエイターの現状

チップを付ける一番の理由はこれ。
チップ=収入と言えるほどの、レストランのウエイターさんの時給です。
(ここで言う「レストラン」は、おしゃれなレストランでなく、カジュアルなレストランやダイナーのことです。)
日本ではアルバイトの最低賃金が東京では869円(全国平均で780円)なのは、皆さんご存じですね。
これがアメリカでは、時給$2ほどになることもあることもあるんです。
チップをもらえる前提の時給ということですね。

つまり、チップで生計を立てている人もいるので、チップを付けることがマナーなのです。
日本人の感覚だと、「食事の料金からウエイターさんの給料もでているのに、何故更にチップを払わなくてはいけないんだ」と思う人もいるかもしれないが、そうではないんです…。
 

チップはモチベーション!

15%~20%と幅のあるチップですが、この振れ幅を決定するのはウエイターさんのサービスの質です。
・水/飲み物のおかわりをタイミングよく持ってきてくれる
・呼ばなくても度々様子を見にきてくれる
・笑顔で対応してくれる
・柔軟な対応ができる
・手際が良い
などなど。
良いサービスをすると高いチップがもらえるので、ウエイターさんは注文のタイミング、料理を出す順番などを計画的に練っているようです。

モチベーション付けの一種としてチップのシステムがあると、ウエイターさんも常に緊張感を持って仕事をすることができますね。

 

レストランでチップを払わないなんてありえない

日本にチップの制度がないことも、少しずつ知られてきてはいるようですが、アメリカ人にとって許しがたいのが「チップがあることを知っていながら、日本人であることを利用して(チップの存在を知らないふりをして)チップしない人」
給与面での苦労をわかってほしいとの声は多いようです。
前述したように、アメリカではサービスの質がチップという形でかえってくるので、ウエイターさんは笑顔の絶えない接客をしてくれるはずです。
チップなしは、「サービスがとても悪かった」という意味になってしまいます。
そんな方々に失礼のないよう、必ずチップはつけましょう。

一方、アメリカ人にとって日本は「サービスも良くてチップもいらない素晴らしい国」。
アメリカでのチップ率の感覚は人それぞれなので、日本ではそういったことに頭を悩まされることがないのも魅力的だそうです。

 

チップは「現金」が紳士のマナー

もう一段レベルアップしましょう。
チップする時は「現金で」わたすようにするのも、是非覚えておいてください。
勿論カードで払えなくもないのですが、現金の方がよい理由が2つあるからです。

A. カード払いだと、その場でチップをもらうことができない。
カード払いだと、ウェイターさんが報酬をもらうまでに時間がかかります。
アルバイトの多いウエイターさんにしてみれば、その場でもらえるチップのほうがずっとありがたいですね。

B. クレジットカードの手数料をチップからひかれる職場もある。
例えばあなたは$30の食事をしたとします。
ウエイターさんのサービスがよくて20%チップしたとします。
$6のチップで、お会計はあわせて$36ですね、結構いいチップをしたと思っても……。
クレジットカードの手数料(使用料)が大体2~3%なので、$6のうち$0.72~1.08がチップから差し引かれてしまいます。
結果的に$6のチップが$5に減ってしまうんです。収入の1/6が減るって結構大きいですよね。
しかも、この計算作業をするのも当然ウエイターさんなので、良いチップをあげたどころか、結果的に労働時間を増やしてしまうことになる。
なんとも・・・なお話ですよね。
クレジットカードで食事代だけ出して、チップは現金でテーブルに残しておくのがスマートです。

「チップはなるべく現金で。」
これはアメリカ人であれば中学生でも知っているとのこと。

 

アメリカでは友達の間でチップ係というのが存在する?

基本的にアメリカはテーブルで一括会計なので、友達と割り勘するときは更にややこしくなるのも、アメリカでは普通。
グループではいつもチップの計算をする”チップ係”のような存在もできるのが日本と違うところです。

チップはどこに言っても必要なので、

a. 小さいお札(1ドルや5ドル)を常に財布にいれておく/持ち歩く
b. チェックをもらう前に両替をお願いする
c. 一人がチップを払って、あとから払い返す
d. 細かい数字になったら繰り上げて渡す(合計$19.30なら、$20渡す)

などをすると、スマートですね。
 

長くなってしまいましたが、チップの重要性に気付いていただけたらと思います。
本日も読んでくださいまして、ありがとうございました。

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    Bluebook編集部
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